はじめに

このページの内容は、私が参加している障害者のパソコン支援グループの勉強会で資料として用意したものを一部再編集したものです。
同じ資料による「ソフトウェア編」もあります。そちらは主にファイル管理について記述したものです。

⇒ パソコンの基礎知識 ソフトウェア編 は、こちら

※ここでの説明は、CPU・メモリ・ハードディスクの三点に搾り、ディスプレイやマウス・キーボードなどについては触れません。

CPU しーぴーゆー Central Processing Unit

日本語では「中央演算処理装置」と訳されています。パソコンの中枢、人間で言えば「脳」にあたります。マウスやキーボードから送られてくる命令を高速で計算(演算)して、処理した結果をディスプレイに表示します。

CPUは発熱しやすい特性があり、複雑な処理を一度に実行させると、50度〜90度くらいまで温度が上昇します。そのため冷却用の専用のファンが使われています。

ハードディスク Hard Disk

文字通り、固い円盤(ディスク)にデータを保存して、必要に応じて呼び出すための部品です。データを記憶させる物なので「記憶装置」と呼ばれます。

ハードディスクを使ってデータを読み書きする原理は、アナログのレコードプレイヤーに似ています。ターンテーブルにレコードを載せて回転させ、そこにアームの先のヘッド部分に取り付けた針をレコード盤に落とすと、音楽が再生されます。

ハードディスクも、高速で回転しているディスクの上を、「ヘッド」という部品が必要な部分まで移動して、データを読み込んだり書き込んだりします。
ハードディスクとレコードプレイヤーの最大の違いは、その回転数です。レコードプレイヤーでは、1分間に 33〜78回転ですが、ハードディスクは、1分間に 5400〜7200回転しています。

もう一つの違いは、レコードプレイヤーは、レコード盤に針が直接接触して記録された溝を読み取りますが、ハードディスクのヘッドは、ディスクに直接接触しないでデータを読み書きしているということです。

ディスクが高速で回転しているため、そこに風(空気の層)が発声し、そのためヘッドは常にディスクから浮き上がった状態で作業を行なっています。この空気の層、つまり、ディスクとヘッドの距離は、千分の1ミリと言われています。
これは、ジャンボジェット機が、地上1mの所を全速力で飛んでいるようなものだそうです。

このように、非常に微妙なバランスで動いているため、ちょっとしたアクシデントでも、故障の原因になってしまいます。パソコンのパーツ(部品)の中でも、最も故障しやすいパーツです。
ハードディスクの故障は、前兆があることもありますが、突然壊れてしまうケースも少なくありません。ハードディスクが壊れてしまうと、ほとんどの場合、保存してあったデータは消失したり、取り出せなくなってしまいます。
そのため、常にバックアップを取っておくことが必要です。

メモリ Memory RAM

メモリもまた、その名前のとおり「記憶装置」の一つですが、ハードディスクとは、その機能と特性が違っていて、それぞれの記憶装置をCPUがコントロールすることによって、さまざまな処理や作業を行なっています。

メモリとハードディスクの一番大きな違いは、データの保存期間です。ハードディスクの場合は、データを長期間(壊れるまで)保存しますが、メモリは一定時間しか保存しません。そして、パソコンの電源を切ると、メモリに記憶されたデータは消えてしまいます。

なぜメモリが短時間しかデータを保存(記憶)しないのかというと、メモリはデータを保存する所ではなく、データを処理するためのパーツだからです。

ユーザーが、マウスやキーボードでパソコンに命令を出すと、CPUがその命令を処理するのに必要なデータをハードディスクから読み込んで、メモリに一時的に保存(記憶)させます。そして、命令された処理や作業をメモリの中で行ないます。
処理された結果は、自動的に、またはユーザーの指示によって、再びハードディスクに保存されます。ユーザーの指示というのは、たとえば「上書き保存」や「名前を付けて保存」のことです。

こうした働きをしているので、メモリではデータの長期間の保存ではなく、処理速度が優先されています。パソコンを机に例えるなら、メモリは机の上の作業スペース、ハードディスクは机の引き出しということになります。

CPUがメモリ上で作業をする時には、そのために必要なスペース(作業領域)を確保します。ユーザーが命令した作業だけではなく、裏(バックグラウンド)でも様々な作業が行なわれています。代表的なものは、セキュリティソフトです。

メモリだけでは作業領域が足りなくなると、ハードディスクの一部をメモリの代わりに、作業領域として使うようになっています。これを「仮想メモリ(領域)」と呼んでいます。
しかし、ハードディスクはメモリに比べて処理速度が遅いため、一度に大量の処理をさせると、作業の速度が急速に低下してしまいます。

こうして、いくつかのプログラムが、それぞれメモリの一定の領域を確保しながら動いているため、メモリの量が小さいとパソコン全体の動きが遅くなります。最近のパソコンには、十分なメモリが搭載されているため、少し前のパソコンのように、重くて遅くてどうにもならないという状態は少なくなりましたが。

スリープと休止状態・シャットダウン

これまで説明したとおり、現在作業中のデータはメモリの中にあります。そして、電源を切ると、メモリのデータは消えてしまいます。

メモリのデータを残しておいて、次に復帰した時に、すぐに作業を始められるようにするのが「スリープ」です。そのために、メモリにだけデータ保持に必要な少量の電気を供給しています。

それに対して、メモリの中の作業中のデータをハードディスクに保存(退避)して、電気の供給を停止してしまうのが「休止状態」です。
休止状態から復帰してから、作業を始めるまでに時間がかかるのは、ハードディスクに保存したデータをメモリに呼び戻すのに時間がかかるためです。また、ハードディスクの処理速度は、メモリに比べてかなり遅いので、そのせいもあります。

作業中のデータを、メモリにもハードディスクにも保存せずに電源を切るのが「シャットダウン」です。次に使う時には、電源を入れて Windowsを起動し、最初からやり直すことになります。


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