はじめに

最近は、YouTubeの動画を視聴するだけでなく、自分でも動画をアップロードしたいと考える視覚障害者の人が増えてきています。
動画が手元にあれば、それを変換・編集してアップロードすればいいのですが、音声ファイル(.mp3/.wavなど)しかない場合は、そのままではアップロードすることが出来ません。

音声ファイルを動画にする方法はいくつかありますが、代表的で簡便なのは、手持ちの一枚の画像をムービーにして、そこに音声ファイルを組み合わせる方法です。
この作業は、Microsoftが無償で提供している「ムービーメーカー」を使って行う事が出来ます。
ただ、一枚の画像を、音声ファイルの長さ(再生時間)に合わせる作業は、マウスを使えば簡単に出来るらしいのですが、キーボードと音声の操作では無理なようです。
キーボードで操作するには、音声ファイルの長さに合わせて、必要な枚数の画像を読み込んでいくか、コピー&ペーストしていく方法があります。 しかし、この方法では、手間がかかりますし、何回 コピーしたか、読み込んだのかを、正確に数えていく必要があります。

そこで、この部分の作業を効率的に行なうツール「画像一括コピー」を作成しました。ここでは、このツールを使った方法を紹介しています。

「画像一括コピー」については、こちらのページをご覧下さい。

なお、Vista の「ムービーメーカー」は、XPのものと、ほとんど 同じものだと聞いたことがあるのですが、私はVistaを持っていないため、確認出来ていません。
ここでは、WindowsXP と Windows7 の「ムービーメーカー」について、操作方法を説明していきます。

著作権について

YouTubeなどの動画投稿サイトにファイルをアップロードする時は、著作権に対して、注意を払って下さい。
著作権者に無断で、その著作物をアップロードするのは法律違反であり、罰則の対象になります。

実践パソコン環境

Windows7 Pro 32bit SP1 + PC-Talker7 2.11
WindowsXP SP3 + PC-Talker XP 2.07
Internet Explorer 8
※PC-Talkerの「アプリケーション拡張設定」で、「ダイレクト操作キーを使用」に設定

WindowsXPの「ムービーメーカー」

■「ムービーメーカー」の起動

スタートメニューの「プログラム」(すべてのプログラム)から、「ムービーメーカー」を起動します。

■「ムービーメーカー」の画面の説明

「ムービーメーカー」の画面は、大きく分けて 四つの部分から成り立っています。それぞれの部分へは、プレビュー画面を除き、Tabキーで移動することが出来ます。ただし、タイムラインは音声ガイドがなく、移動しても無音のままです。

@プロジェクトのツリービュー
A(読み込んだ)ファイルのリストビュー
Bプレビュー画面
Cストーリーボード(タイムライン)
※ストーリーボードとタイムラインは、同じ部分が、作業の状況によって呼び方が変わります。

■リストビューの表示形式の切り替え

リストビューの部分は、最初はアイコン表示になっていて、上下の他に 左右の矢印キーも使わないと選択できないようになっています。この表示を、上下矢印キーだけで選択できるように変更します。

1.Altキーでメニューを開き、右矢印キーで「表示」まで移動します。

2.上下矢印キーで「詳細」を選んで Enterキーを押します。
※この時、「詳細 チェック」と音声があれば、既に詳細表示になっています。

■作業の流れ

一枚の画像と音声ファイルを組み合わせてムービーを作成する手順は、次のようになります。

@画像ファイルの読み込み
A画像ファイルをストーリーボード(タイムライン)に追加
B音声ファイルの読込
C音声ファイルをタイムライン(ストーリーボード)に追加
Dムービーを保存

■画像ファイルの読み込み

Altキーでメニューを開き、上下矢印キーで「コレクションへの読み込み」を選んで Enterキーを押します。
ファイルを開くダイアログボックスが現れます。画像ファイルを選択して「読み込み」ボタンを押します。
複数選択が可能になっていますので、「画像一括コピー」を使って画像ファイルを複数枚 コピーしてある場合は、全て選択してから「読み込み」のボタンを押します。

■画像ファイルをストーリーボードに追加

リストビューに、読み込んだ画像ファイルの一覧が表示されます。Ctrlキー+Aを押して、全て選択します。

Applicationキーでコンテキストメニューを開き、上下矢印キーで「ストーリーボードに追加」を選んで Enterキーを押します。
※「ストーリーボード」ではなく、「タイムライン」になっていることもありますが、どちらでもOKです。

■音声ファイルの読込

Altキーでメニューを開き、上下矢印キーで「コレクションへの読み込み」を選んで Enterキーを押します。
ファイルを開くダイアログボックスが現れます。音声ファイルを選択して「読み込み」ボタンを押します。
リストビューの最後(一番下)に、音声ファイルが追加されます。フォーカスは、音声ファイルに合っています。

■音声ファイルをタイムライン(ストーリーボード)に追加

Applicationキーでコンテキストメニューを開き、上下矢印キーで「ストーリーボードに追加」を選んで Enterキーを押します。すると、次のようなメッセージが現れます(タイムラインになっている場合は表示されません)。

「オーディオ クリップは、タイムライン表示だけに追加できます。表示形式がストーリーボード表示からタイムライン表示に切り替えられ、クリップが追加されました。」

Spaceキーを押して、このダイアログボックスを閉じます。
※このダイアログボックスを、次から現れないようにするには、Tabキーで、 「今後、このダイアログを表示しない」のチェックボックスに移動して、 Spaceキーでチェックを付けてから、Tabキーで「OK」のボタンに移動して、Spaceキー または Enterキーを押します。

■プレビューで確認

タイムラインを再生して、確認することも出来ます。
Tabキーで「タイムライン」に移動して Applicationキーを押します。リストビューの次の無音の部分です。 コンテキストメニューが開きますので、「タイムラインの再生」を選んで Enterキーを押します。

■ムービーの保存

1.Altキーでメニューを開き、上下矢印キーで「ムービー ファイルの保存」を選んで Enterキーを押します。「ムービーの保存ウィザード」が開きます。

2.最初は、ムービーをどのような形で保存するのかを選択するリストです。
「マイ コンピュータ」が選択された状態になっていますので、そのままTabキーで「次へ」のボタンに移動して、Spaceキー または Enterキーを押します。

3.次の画面に移り、保存するムービーのファイル名を入力して、Tabキーを押します。
次は、保存する場所を入力(または選択する)コンボボックスで、最初は「マイビデオ」になっています。 変更したい時は、次の「参照」ボタンを押して、保存先のフォルダを指定します。
ファイル名と保存先の指定が済んだら、Tabキーで「次へ」のボタンに移動して、Spaceキー または Enterキーを押します。

4.次の画面に移り、 「ムービーの保存ウィザードの ラジオボタン 選択 コンピュータの最高の品質で再生 (推奨) M」 と音声があります。
そのまま、Tabキーで「次へ」のボタンに移動して、Spaceキー または Enterキーを押します。

5.次の画面に移り、ムービーの保存が開始されます。
Ctrlキー+Altキー+Z の全文読みのコマンドを押すと、 「ムービーを保存しています... 残り 5 分 1 % ムービー ファイル名: test 保存先: D:\MyDocuments\My Videos\」 というふうに、進捗状況を確認することが出来ます。

6.ムービーの保存が完了すると、次の画面に移ります。
Tabキーで「完了」のボタンに移動して、Spaceキー または Enterキーを押します。
これで、このウィザードは閉じて、元の「ムービーメーカー」のウィンドウに戻ります。同時に、ムービーの再生が始まります。

※このダイアログボックスで、Tabキーを押すと、 「完了 をクリックしたときに、ムービーを再生する」というチェックボックスがあり、最初はチェックが付いています。
チェックボックスにチェックが付いていれば、ムービーファイルに関連付けされたプレイヤーが起動して、ムービーが再生されます。
再生の必要がなければ、Spaceキーでチェックを外します。

Windows7の「ムービーメーカー」

■準備

「Windows Live ムービーメーカー」(以下 ムービーメーカー と略)は、Windows7に、最初はインストールされていません。下記のページから、ダウンロードして、インストールして下さい。

Windows Essentials (旧名: おすすめパック) - Windows Essentials (旧名: おすすめパック) をダウンロードする
http://windows.microsoft.com/ja-JP/windows-live/essentials-home

■「ムービーメーカー」の起動

1.Windowsキーでスタートメニューを開き、「プログラムとファイルの検索」のテキストボックスに「ムービー」と入力します。

2.表示された項目の中から、「ムービーメーカー」を選んで Enterキーを押します。「ムービーメーカー」が起動します。

■画像ファイルの追加

3.Altキーを押します。
通常は「ホーム」タブにフォーカスされていますので、 Tabキーで「ビデオおよび写真の追加」まで移動して Spaceキーを押します。
※「ホーム」にフォーカスされていない時は、左右矢印キーで「ホーム」まで移動します。

4.ファイルを開くダイアログボックスが現れますので、先ほどコピーしておいた画像を、全て選択して「開く」のボタンを押します。

または、コピーされた画像を全て選択してから、Ctrlキー+C でコピーし、「ムービーメーカーを起動して、同じ「ホーム」タブにある「貼り付け」を選んで Spaceキーを押します。

■音楽・音声ファイルの追加

5.次に もう一度、Altキーを押します。
Tabキーで、「音楽の追加... ドロップダウンボタン」と読む所まで移動して Spaceキーを押します。

6.プルダウンメニューが開きますので、上下矢印キーで「現在の位置に音楽を追加」を選んで Enterキーを押します。

7.ファイルを開くダイアログボックスが現れますので、目的の音楽・音声ファイルを選択して「開く」のボタンを押します。
これで、仮のムービーが作成されます(あくまでも 仮のものですが)。

■仮のムービーの再生

8.Altキーを押してから、左右矢印キーで「表示」タブに移動します。 そこから、Tabキーで「再生」を選んで Spaceキーを押します。
これで、仮のムービーを確認することが出来ます。確認が必要ない場合は、このステップは飛ばしてけっこうです。

■ムービーの保存

9.Altキーを押して、左矢印キーで「アプリケーションメニュー」タブに移動して、Spaceキーを押します。 プルダウンメニューが開きます。

10.下矢印キーで「ムービーの保存」にカーソルを合わせて、右矢印キーでサブメニューを開きます。

11.上下矢印キーで「このプロジェクトの推奨設定」を選んで Enterキーを押します。 ファイルの保存のダイアログボックスが開きます。

12.ファイル名を入力し、保存先を指定して「保存」のボタンを押します。 ムービーの保存が始まります。
この処理には、けっこう時間がかかります。お茶でも飲んで、のんびり待ちましょう。

※YouTube用の mp4ファイルを作成する場合は、音声ファイルが mp3 以外のもの、たとえば wma などではムービーの作成が出来ないようです(推測)。
その場合は、「コンピューター用」を選んで下さい。そして、ファイルの種類を wmv にして作成してみて下さい。

13.ムービーの保存が終わると、それを報せるダイアログボックスが開きます。作成されたムービーを再生して確認する場合は、Tabキーで「再生」または「フォルダを開く」のボタンまで移動して Spaceキーを押します。
「再生」のボタンを押すと、既定のメディアプレイヤーが起動して、ムービーを再生します。
「フォルダを開く」のボタンを押すと、保存先のフォルダを開いた状態で Explorerが起動します(カーソルは、ムービーに合っています)。

注意: 「この動画を保存するためには、メモリが不足しています」という警告のメッセージが現れることがあります。 その場合は、ムービーの保存のサブメニューで「コンピューター用」を選んで Enterキーを押します。ファイルを保存するダイアログボックスが現れたら、ファイルの種類を「Windows Media ビデオ ファイル (*.wmv)」にして、保存のボタンを押します。
それでもダメな時は……いろいろ自分で試してみて下さい。

動画をYouTubeにアップロードする・動画を削除する

作成した動画(ムービー)を、YouTubeにアップロードする方法と、削除する方法について、簡単に紹介しておきます。

実践パソコン環境:
Windows7 Pro 32bit SP1 + PC-Talker7 2.11
Internet Explorer 8
PC-Talkerの設定 (アプリケーション拡張設定):
Internet Explorer ダイレクト操作キーを使用する
Internet Explorer エディット操作を NetReader互換の操作方式にする
Internet Explorer マウスを追従する

■動画のアップロード

※2013年4月1日 修正
毎度おなじみ、YouTubeのサイトに変更があり、以前の手順ではアップロード出来なくなっているため、一部の手順を修正しました。

事前の準備
@PC-Talkerの設定 → アプリケーション拡張設定 の中の「Internet Explorer マウスを追従する」のチェックボックスにチェックを付けます。
ACtrlキー+Altキー+_ を押して、「マウスカーソルを読む」に設定します。

1.YouTubeのトップページから、自分のアカウントを登録します。 Gmailのアカウントを持っている場合は、Gmailのアドレスとパスワードを使うことが出来ます。
ただ、この時、画像認証がありますので、晴眼者のサポートを受けて手続きされることをおすすめします。

2.登録したIDとパスワードで、YouTubeにログインします。
※アカウントの作成とログインについては、下記のページをご覧下さい。

アカウントの作成とログイン - YouTube ヘルプ

3.ログインしたら、自分のIDを読む所で Enterキーを押します。 自分のユーザーページが開きます。

4.「動画の管理」の所で Enterキーを押します。管理の画面が開きます。

5.「アップロード」のボタンの所で、Ctrlキー+Altキー+@(マウスクリックのコマンド)を押します。または、マウスやタッチパッドの左ボタンを押します。
「動画のアップロード」の画面に移ります。

6.マウスポインタを、Internet Explorerの画面の左側に持っていきます。 動画を再生する時に、YouTubeの動画プレイヤーの表示されている辺りです。
「アップロードするファイルを選択 または動画ファイルをドラッグ&ドロップします」という音声がする所で、Ctrlキー+Altキー+@(マウスクリックのコマンド)を押します。または、マウスやタッチパッドの左ボタンを押します。

7.ファイルを開くダイアログボックスが現れますので、アップロードしたい動画ファイルを指定して、「開く」のボタンを押します。
アップロードが始まります。

8.上下矢印キー(または Ctrlキー+上下矢印キー)を押してページの中を読んでいくと、アップロードの状況を読む所があります。
現在 何%くらい進んでいるとか、完了したとかが表示されています。アップロードが完了すると、動画のURLのリンクが表示されます。
PC-Talkerの場合は、Ctrlキー+Altキー+M を押すと、リンク先(動画のURL)を、クリップボードにコピーすることが出来ます。

■アップロードした動画の削除

1.自分のページに入り、「動画の管理」を開きます。

2.「サムネイル 〜 」と読む所まで移動します。ここからは下矢印キーで進みます。

3.動画のファイル名を読む所まで移動して、削除するファイル名を確認します。

4.上矢印キーで戻って、「削除 画像」と読む所で、Ctrlキー+Altキー+@ (PC-Talkerのマウスクリックコマンド)を押します。またはマウスでクリックします。

5.確認のダイアログが表示されます。Tabキー、または Shiftキー+Tabキーを押して、「削除する」まで移動して、Spaceキーを押します。 これで動画が削除されます。

■作成した動画の紹介

実際に、上の手順とツールで作成した動画を、YouTubeにアップしていますので、よかったらご覧下さい。

sunset greensleeves - YouTube
http://www.youtube.com/watch?v=xx_ePPd_ab0&feature=plcp

※このムービーに使用した画像と音声ファイルは、ネット上の、無料で素材を配布しているサイトからダウンロードして入手したものです。したがって、著作権の問題はクリアしています。

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