はじめに

このページでは、「DENON JP DP-200USB」というアナログレコードプレイヤーを使って、アナログレコードの音源を、デジタルデータにして保存・編集する方法について紹介します。

※USBメモリに録音した音源をパソコンに取り込んで編集する手順については、
その2 パソコン編
のページをお読み下さい。

このプレイヤーは、本体にUSB端子が付いていて、そこにUSBメモリを差せば、レコードを再生しながらUSBメモリにレコードの音を録音することが出来ます。
パソコンと接続してプレイヤーの音源を取り込む機器やプレイヤーもありますが、その場合は、プレイヤーをパソコンの近くに設置する必要があります。
ここで紹介するプレイヤーだと、本体に差したUSBメモリに録音するため、プレイヤーの設置場所を問わないという利点があります。

音質については、好みや求めるレベルがそれぞれ違いますので一概には言えませんが、まずまずという所でしょうか。メーカーが、定評のある DENON(デノン)ですし、実売 20,000円前後という価格を考えれば、十分なレベルだと思います。
なお、ビットレートは 192kbps に固定されていて、変更は出来ないようです。

※ここで紹介しているプレイヤー「DENON JP DP-200USB」と、関連する商品のページは、このページの最後の方にまとめて掲載してあります。

⇒プレイヤーとその他の商品の情報

本体の部品の説明

上面

●EPレコード用アダプター

本体の上面の左奥に、EPレコード用アダプターを置くために、少しへこんだ円形のスペースがあります。

●ターンテーブルとトーンアーム

中心にターンテーブル、その右にトーンアームとアームレストがあります。 カートリッジの先には当然レコード針があるのですが、コの字型の針先カバーが付いていますので、再生する時は、この針先カバーを手前の上の方に、カチッとなるまで軽く押し上げて下さい。

●速度切り替えボタン

本体上面の手前の左には、速度切り替えボタンがあります。押し込むと 45回転 もう一度押して元の状態に戻すと 33回転です。

●レコードサイズ切り替えレバー

本体上面の手前の右には、レコードサイズ切り替えレバーがあります。 レバーが真横の方向を向いている時は 30cm。手前にレバーを引いて斜めにすると 17cmです。 これは、オートスタートの開始の時に、最初に針先を着地させる場所の目安だと思われます。
※25cmのレコード盤の時は、オートスタートではなく、手動で針先を降ろして再生するように、と説明書には書いてあります。

前面

本体前面の部品を、左から順に説明していきます。

●電源ボタン

押し込むと電源が入り、もう一度押すと電源が切れます。ボタンの状態で言うと、半分くらい押し込まれた状態が電源オンで、元の突き出た状態が電源オフになります。

●USB表示

LEDランプです。USBメモリを差し込むと点灯します。

●USB端子

USBメモリを差し込む端子です。たぶん USB2.0規格の端子だと思われます。

●録音表示

LEDランプです。録音している時に点滅します。

●録音ボタン

USBメモリへの録音を開始/停止するためのボタンです。

●スタートボタン

このボタンを押すと、自動的にレコードの再生が始まります。

●ストップボタン

このボタンを押すと、レコードの再生が停止して、トーンアームがアームレストに戻ります。 普段は、自動的に再生が終る(レコードの内側の一定の所まで針が移動する)と、針が上がり、トーンアームがアームレストに戻ってきます。 戻る時には、ククイーン カチャッ というような音がします。

※スタートボタンとストップボタンは、前面の右寄りの所に、並んで配置されています。 むかって左がスタートボタン、右がストップボタンです。

背面

本体背面からは、二本のコードが出ています。

●電源コード(長さ 約1.8m)

普通の AC100V 50/60Hz の電源コードです。

●オーディオケーブル(長さ 約1m)

このオーディオケーブルは、RCAケーブルと呼ばれるもので、白と赤 二本の出力端子を持っています。
コスト削減のためでしょうか、本体から直接出ていて、ケーブルが壊れた時はどうすれば……と少し不安になりますが、考えないことにしておきましょう。

なお、接続先のミニコンポやラジカセなどのオーディオ機器に、RCA入力端子(ピンジャック)が無く、AUX入力端子(ミニジャック)しか無い場合は、RCA → AUX の変換ケーブルや変換コネクタなどが必要になります。

※一緒に購入した物 の項目を参照

ターンテーブルの組み込みとイコライザスイッチの確認

このプレイヤーはベルトドライブ方式なのですが、そのベルトを自分でセットするようになっています。 また、プレイヤーと接続するオーディオ機器の種類によって、イコライザの設定を確認しておく必要があります。
この作業に自信の持てない方は、販売店や家族・友人など、晴眼者のサポートを受けられるよう、おすすめします。

■ドライブベルトの取り付け

ターンテーブルを裏返して、ドライブベルトを、内側の輪の外側に回して取り付けます。
ターンテーブルには、30mm×50mmくらいの四角い穴が空いています。 ベルトに付いているリボンが、この穴の所にくるように取り付けて下さい。

ベルトを取り付けたら、ターンテーブルの表を上にして、本体のセンタースピンドル(直径 6mmくらいの円柱)に、ターンテーブルの真ん中の穴を合わせて取り付けます。

ターンテーブルに開いている四角い穴を、本体の左上の方に持っていきます。 EPレコード用アダプタを置くスペースが目安になります。

ベルトに付いているリボンを持って、ドライビングローラーに引っかけます。 ドライビングローラーは、直径 5mmくらいの円筒形の部品で、本体から直立しています。
※私の場合は、リボンがすぐに取れてしまい、直接ベルトを指でつまんで引っかけました。

電源プラグをコンセントに差し込み、電源ボタンを押して電源を入れます。
トーンアームを、ターンテーブルの方に持っていき、ターンテーブルが正常に回転しているか確認します。

イコライザスイッチの切り替え

ドライブベルトの取り付けと確認が終ったら、イコライザスイッチを確認して下さい。 イコライザスイッチは、先ほどのドライビングローラーの、100mmくらい右側の方にあります。
ターンテーブルを右に回していき、四角い穴を、だいたいその辺りに合わせます。

イコライザスイッチは、5mm角くらいのスイッチで、左右にスライドさせて切り替えるようになっています。 左が ON 右が OFF で、最初は左の方(ON)にセットされています。

PHONO入力端子の付いているアンプ(単体)やステレオに接続する場合は、スイッチを右にスライドさせて OFF にします。
それ以外の、AUX入力端子の付いたミニコンポやラジカセなどに接続する場合は、初期設定の ON のままで使用します。

※AUX入力端子に接続する時に、このスイッチを OFF にしてあると、接続先の機器から音が出ません。逆に、PHONO入力端子に接続する時に ON になっていると、音が大きくなり過ぎます。

ここまで済んだら、ゴム製のターンテーブルシートをターンテーブルの上にセットします。2mmくらいの幅の凸形の輪が何本もあるのが裏です。

次に、ダストカバーを取り付けます。 本体と直角に近い角度にして、ダストカバーの金具を、本体にそっと差し込みます。

レコードの再生と録音

レコードのA面を再生しながら録音する

電源ボタンを押して電源を入れます。

ダストカバーを上に上げます。直角に近い所まで上げると、そこで固定された状態になります。

USBメモリを、USB端子に差し込みます( *注1 )。

レコードを、ターンテーブルに載せます。

録音ボタンを押して、録音を開始します( *注2 )。

スタートボタンを押して、再生を開始します。

再生が終ると、自動的にレコードから針があがり、トーンアームが元の位置に戻ります。

録音ボタンを押して、録音を停止します( *注3 )。

レコードを裏返して B面を再生しながら録音する

レコードを裏返します。

録音ボタンを押して、再び録音を開始します。

スタートボタンを押して、再生を開始します。

再生が終ると、自動的にレコードから針があがり、トーンアームが元の位置に戻ります。

再生が終ったら、録音ボタンを押して、録音を停止します( *注4 )。

A B 両面の録音が終ったら

数秒間待ってから、USBメモリを、USB端子から取り外します( *注5 )。

電源ボタンを押して、電源を切ります。

*注1

録音に使うUSBメモリは、あまり安い物や古い物はおすすめ出来ません。 USBメモリの性能が低いと、アタマが切れたり途中までしか書き込まれなかったりと、失敗する確率が高くなります。

*注2

スタートボタンを押してから録音ボタンを押すと、先頭の音が入らずに切れてしまうことがあるため、先に録音をスタートさせておきます。先頭の余計な部分は、後で編集でカットします。

*注3

こうすると、A面とB面が、それぞれ別のファイルに録音されるはずなのですが、一つのファイルに録音されてしまうケースがあります。
タイミングのせいなのか、ボタンの押し方が悪いのか、プレイヤーのせいなのか、原因はまだよくわかりません。

*注4

レコードの再生が終ってからすぐに録音を停止しないと、延々と無音(厳密には無音ではないが)の部分を録音し続けます。
すると、データが大きく鳴り、USBメモリへの書込に非常に時間がかかってしまうため、USBメモリを取り外すまでの待ち時間が長くなります。
待ちきれずにUSBメモリを取り外すと、音が途中で切れていたり、全く書き込まれていなかったりします。

*注5

録音を停止してからすぐにUSBメモリを取り外すと、終わりの方が切れていたり、全くデータが書き込まれていなかったりすることがあります。失敗したら、もう一度やり直して、そのメモリに合わせて、録音停止から取り外しまでの時間を調整して下さい。

プレイヤーとその他の商品の情報

ここで紹介しているアナログレコードプレイヤーと、私が一緒に購入した関連商品のページを掲載しておきます。
※メーカーのサイトに適当なページが見当たらないものは、購入した店のページを掲載しています。

プレイヤー

DENON(デノン) JP DP-200USB USBメモリー対応・フルオートレコードプレーヤー

一緒に購入した商品

プレイヤーの他に、下記の関連商品を一緒に購入しました。

交換用レコード針

念のために、交換用のレコード針を購入しておきました。

ヨドバシ.com - デノン(DENON) DSN-84 [DP-29F用交換針 針カバー組み込み形]【無料配達】

変換ケーブル

プレイヤーのRCAケーブルから、ミニコンポの AUX端子に接続するための変換ケーブルです。

AVC136B | アクロス | ステレオミニプラグ⇔ピンジャック(×2) 1.5m

レコードクリーナー

レコードにけっこうホコリが付いていたため、クリーナーを購入。定番の商品で、シンプル&コンパクト。しっかりホコリが取れます。

ナガオカ / アナログレコード用クリーナー 【 ナガオカNo.CL-116 】 | ナガオカ アナログレコード・アクセサリー | UNIVERSAL MUSIC STORE

クリーニングスプレー

クリーニングをより効果的に行なうために購入。

ナガオカ / アナログレコード専用クリーニングスプレー 【 ナガオカNo.SP-562 】 | ナガオカ アナログレコード・アクセサリー | UNIVERSAL MUSIC STORE

スタイラスクリーナー

一応、レコード針のクリーナーも購入。

AT-607(テクニカ) | オーディオテクニカ | スタイラスクリーナー

レコード袋

昔 レコード店でもらったビニール袋が汚れたり破損したりしていたため、LPレコード袋を購入。ホコリよけに、ふた付きの物を選びました。他の店にあった 厚さ 0.04mmの袋はちょっと不安なので、少し厚手(0.06mm)のこちらの物を購入しました。

ふた付きLPレコード袋 - レコード袋専門店 ミュージック サプライ ショップ

プレイヤー編は、ここまでです。
USBメモリに録音した音源をパソコンに取り込んで編集する手順については、
その2 パソコン編へ
のページをお読み下さい。

アナログレコードの思い出とプレイヤー購入までの経緯

私が自分の小遣いでレコードを買うようになった頃、CDが普及し始め、あっという間にアナログのレコードに取って代わっていきました。しかし私は相変わらずアナログのレコードを買い続けていました。

私は最初、ロックやフォークを聴いていたのですが、徐々にそのルーツである黒人音楽、ブルースやソウルに惹かれていくようになりました。
そうしたジャンルの音楽は、ごく一部しかCD化されず、それどころか新しいレコードの発売もとても少なかったのです。

そこで、私は二つの方法でレコードを手に入れていました。
ひとつは、近所のレコード店に取り寄せてもらう方法。当時、私の住んでいた田舎には小さなレコード店しかなく、マイナーなCDやレコードが棚に並ぶことは稀だったのです。

もうひとつの方法は、都会への買い出し旅行です。
東京や大阪などの大都市には、黒人音楽専門のレコード店がいくつもあり、新譜だけでなく、中古のレコードを扱っている店もありました。 音楽雑誌の記事や広告を頼りに、そうしたレコード店まで行って、自分の欲しいレコードを手に入れていたのです。

しかし、仕事が忙しくなるにしたがって、取り扱いの簡便なCDを聴くことの方が徐々に多くなっていきました。
また、ステレオの方も、故障したり、引越の時にデカイスピーカーを処分せざるを得なかったりで、ついにアナログのレコードを聴くことが出来なくなってしまいました。

そんな訳で、当時の懐かしいアナログレコードをそれなりに持っているのですが、長いこと放置状態になっていました。
レコードを沢山お持ちの方はわかるかと思いますが、レコードというのは、CDに比べてかなり場所を取るものです。しかし、若い頃、苦労して買い集めた思い出があるので、簡単に捨てる気にはなれません。

十年前くらいだったと思いますが、通販のカタログにアナログのレコードプレイヤーが掲載されているのを見て、思わず買ってしまいました。
価格はたしか、10,000円くらいだったでしょうか。木製のキャビネットになっていて、外観はそこそこのものでした。

しかし、音は全くの期待はずれ。実にショボイ音質でした。 このプレイヤーからミニコンポに接続して、MDに録音してみたのですが、こちらもやはりヒドイ音質でした。
がっかりしてしまい、結局そのプレイヤーでレコードを聴いたのは数回だけで、こちらも放置状態となってしまいました。

その後、パソコンの操作を覚え、パソコンと接続してアナログの音源をデジタルデータにして、パソコンに取り込む機器やレコードプレイヤーがあることを知りました。
ただ、そうした機器やプレイヤーは、パソコンの近くに設置しなければならず、私の住環境では難しく、また、価格や音質に不安や不満もあり、時々ネットで調べたりするくらいで、購入までには至りませんでした。

今回のプレイヤーに対しても不安があったのですが、価格も手ごろで、設置場所を選ばないという点に惹かれ、ついに購入することになりました。

幸い、音質への不安は杞憂に終りました。 もちろん、CDのようなくっきり鮮明な音とは違います。 何というか、ヴォーカルと楽器の音が一体となっているような、アナログ独特の音です。 CDしか知らない世代の人には、音の分離がはっきりしていなくて、物足りないかもしれませんが。

このプレイヤーを購入して最初に録音したのは、「O.V. WRIGHT」の「A NICKEL & A NAIL & THE ACE OF SPADES」というアルバムでした。 私の持っているソウルミュージックのアルバムの中でも、一番お気に入りの一枚です。
こんな曲が収録されています。

O.V. Wright 'A Nickel And A Nail', "A Nickel And A Nail And The Ace Of Spades" [1971]

ACE OF SPADES-O.V.WRIGHT

O.V. Wright - I Can't Take It

 

─ 本文 ここまで ─