はじめに
音声ユーザーはマウスは使わないのだから、マウスについて知る必要は無い、と言うかたもあるでしょう。でも、やはり最低限の知識はあった方がいいと思います。
それは、パソコンの操作についての説明が、マウスによる操作を前提にして書かれているものがほとんどだからです。
一般のアプリケーションのマニュアルや、操作についてのネット上の掲示板や説明のページなどがそうです。
そんな時、マウスでの操作の基本的な知識と、それに代わるキーボードの操作について知っておくことは、必ず役に立つと思います。
※このページは、当初の内容が古くなってきたため、2013年1月に、大幅に加筆修正しました。
実践パソコン環境
OS : Windows7 Pro SP1 32bit
スクリーンリーダー : PC-Talker7 2.11
(2013年1月 現在)
マウス本体の簡単な説明
マウスには、左側と右側に、一つずつボタンがあります。左側のボタンを「左ボタン」、右側のボタンを「右ボタン」と呼びます。
左右のボタンの真ん中に、丸いダイヤルのようなものが、縦に配置されています。これを「スクロールボタン」と言います。
■左ボタン
通常「クリック」「ダブルクリック」と言う時は、左ボタンを押すことを指します。パソコンの操作では、一番多く使われるボタンです。
■右ボタン
マウスの右にあるボタンを押すことを、「右クリック」と言います。
右クリックすると、その時 その場面で操作可能なメニューの一覧が表示されます。このメニューは、「右クリックメニュー」と呼ばれることが多いですが、本来の名前は、「コンテキストメニュー」または「ショートカットメニュー」です。
■スクロールボタン
このボタンを前後(というか上下というか)に回転させると、エディタやワープロ・Internet Explorerなどの表示されている画面の内容を、上下に移動させることが出来ます。
パソコンのディスプレイの大きさは決まっているため、その中に表示できるウィンドウの大きさも当然 決まっています。内容量の多い文書やホームページなどは、一部しか表示することが出来ないため、晴眼者はこのボタンで画面の内容を上下に移動させながら、全体を見ています。
また、マウスやアプリケーションによっては、このボタンを押すことによっていろいろな操作を可能にしているものもあります。
マウスポインタ
「マウスカーソル」とも言います。
マウスの本体を動かすと、それにつれて、画面の上をいろいろな方向に移動します。
操作したい所、たとえばボタンやショートカットアイコン、チェックボックスなどに矢印の先を持っていって、クリックや右クリックなどで、処理を実行させます。
マウスポインタは、普段は矢印の形をしていますが、アプリケーションや状況によって、アルファベットの I のような形になったり、人間の手のような形になったりします。
また、処理に時間がかかったり、ハングアップ(フリーズ)したりすると、砂時計の形になることもあります。
マウスの操作
■クリック
マウスのボタンを1回押して、すぐに離すことを「クリック」といいます。
「シングルクリック」とも言いますが、ほとんどの場合、単に「クリック」と呼ばれます。
また、単に「クリック」という時は、左ボタンを押すこと=左クリックを指していて、右ボタンを押す時は「右クリック」と呼んで区別しています。
■ダブルクリック
「クリック」を素速く2回繰り返すことを、「ダブルクリック」と言います。 アプリケーションを起動したり、ファイルを開いたりする時に使います。
※上記のシングルクリックとダブルクリックの動作は、コントロールパネルのマウスの動作の設定で変更することも出来ますが、通常は「シングルクリックで選択し、ダブルクリックで開く」という初期設定のまま使うユーザーがほとんどです。
■ドラッグ
選択したアイコンなどを移動するときは、その上でマウスの左ボタンを押したままにし、マウスを動かします。この動作を「ドラッグ」と言います。
ドラッグ中に左ボタンを離すと、その場所で移動が終了します。この動作を「ドロップ」と言い、「ドラッグ」との一連の操作を「ドラッグ&ドロップ(D&D)」と言います。
この操作は、デスクトップやスタートメニューにあるショートカットアイコンを、他の場所にコピー/移動させたり、アプリケーションのウィンドウに、ファイルやフォルダを読み込ませたりする時に使います。
マウスの操作をキーボードに置き換える
■クリックとダブルクリック
マウスの操作(動作)をキーボードに置き換えて説明する時、クリックはこれ、ダブルクリックはあれ、というふうにひと言で説明するのは難しいため、操作する対象によって、それぞれの操作を説明していきます。少し煩雑ですが、ご容赦を。
※以下の説明は、操作する対象と、その操作の順で記述しています。
また、マウスの操作は、「シングルクリックで選択し、ダブルクリックで開く」という設定での操作の説明です。
- ●デスクトップ(ショートカットアイコン)
-
マウス(選択) クリック
マウス(開く/実行) ダブルクリック
キーボード(選択) 矢印キー
キーボード(開く/実行) Enterキー - ●Explorer(ファイル/フォルダ)
-
マウス(選択) クリック
マウス(開く/実行) ダブルクリック
キーボード(選択) 矢印キー
キーボード(開く/実行) Enterキー
- ●スタートメニュー
-
マウス(開く) 「スタート」ボタンをクリック
マウス(選択) 無し
マウス(実行) クリック
キーボード(開く) Windowsキー または Ctrlキー+Escapeキー
キーボード(選択) 矢印キー
キーボード(実行) Enterキー - ●Altメニュー
-
マウス(開く) メニューバーをクリック
マウス(選択) 無し
マウス(実行) クリック
キーボード(開く) Altキー
キーボード(選択) 矢印キー
キーボード(実行) Enterキー - ●コンテキストメニュー
-
マウス(開く) 右クリック
マウス(選択) 無し
マウス(実行) クリック
キーボード(開く) Applicationキー または Shiftキー+F10キー
キーボード(選択) 矢印キー
キーボード(実行) Enterキー - ●ボタン
-
マウス(選択) 無し
マウス(開く/実行) クリック
キーボード(選択) 無し(Tabキーによる移動で選択)
キーボード(開く/実行) Spaceキー または Enterキー
- ●チェックボックス
-
マウス(選択) クリック
キーボード(選択) Spaceキー
- ●ラジオボタン
-
マウス(選択) クリック
キーボード(選択) 矢印キー
■右クリック
Applicationキー、または Shiftキー+F10キーを押します。
するとAltキーを押した時に開くメニューと同じ形の「プルダウンメニュー」が開きます。
このメニューは、「コンテキストメニュー」、または「右クリックメニュー」と呼ばれています。
PC-Talkerの最近のバージョンでは、「メニュー オープン コンテキスト」とガイドされます。
操作は「ファイル」メニューなどと同じで、上下矢印キーで項目を選んで、Enterキーを押して実行します。
サブメニューがある場合は、右矢印キーを押して開きます。これもAltキーで開くメニューと同じです。
●右クリックの例
一般ユーザー向けの説明では、「デスクトップのマイコンピュータのアイコンを右クリック…」というふうに書かれていることがあります。
これを、マウスではなく、キーボードを使ってやってみます。
※以下の説明は、WindowsXPでのものです。Windows7では、デスクトップに「コンピューター」のショートカットアイコンが表示されていません。
Windows7で「コンピューター」のショートカットアイコンを、デスクトップに表示させる方法については、下記のページを参照して下さい。
☆デスクトップに「コンピューター」のショートカットアイコンを表示させる
1.Windowsキー+D または、Ctrlキー+Altキー+Tabキーを押して、デスクトップにフォーカスを移動します。
2.上下矢印キーで「マイコンピュータ」のアイコンにカーソルを合わせます。
3.Applicationキー または、Shiftキー+F10キーを押します。
4.「メニュー オープン」と音声がして、コンテキストメニューが開きます。
■ドラッグ&ドロップ
この操作は、完全にキーボードの操作に置き換えることは出来ません。たとえば、Explorerで選択しているファイルを、デスクトップのアプリケーションのショートカットアイコンにドラッグ&ドロップして、そのファイルを読み込んだ状態でアプリケーションを起動させたり、アプリケーションの画面に、Explorerからドラッグ&ドロップでファイルを追加する、というようなことは出来ません。
ただし、一部のアプリケーションでは、Explorerの「送る」メニューから、ファイルやフォルダを読み込んだ状態で、アプリケーションを起動させることは出来ます。
以下に、その方法について説明します。
※この操作は、出来るアプリケーションと、出来ないアプリケーションがあります。
その見分け方は…やってみないとわかりません。
●「送る」メニュー
「ドキュメント」や「コンピューター」のメニューの中に、「送る」という項目があります。この項目は、Altキーで開く「ファイル」メニューと、コンテキストメニュー、両方にあります。
この「送る」の項目にカーソルを合わせると、「送る(N) メニュー」とガイドされます。これは、この項目にサブメニューがあることを示しています。
そこで、右矢印キーでサブメニューを開くと、次のような項目がタテ一列に並んでいます。
デスクトップ (ショートカットを作成) 圧縮 (zip 形式) フォルダ メール受信者 DVD-RAM ドライブ(E:) ……
このサブメニューの中に、新しく自分でショートカットを登録し、それを実行することによって、ファイルやフォルダを読み込んだ状態でアプリケーションを起動することが出来ます。
●「送る」メニューにショートカットを登録する
この「送る」メニューにショートカットを登録するには、「Sendto」というフォルダに、目的のアプリケーションのショートカットを作成する必要があります。
1.まず、アプリケーションの実行ファイルが入っているフォルダを開きます。
実行ファイルは、一般的には .exe という拡張子になっています。
「コンピューター」で、アプリケーションのフォルダを開き、.exeという拡張子のついたファイルを探します。
アプリケーションによっては、二つ以上.exeのついたファイルがある場合があります。どれがアプリケーション本体の実行ファイルなのかを見分けるには、そのファイルにカーソルを合わせて、Enterキーを押して実行してみます。
2.実行ファイルが見つかったら、そこにカーソルを合わせてAltキーを押します。
ファイルメニューが開いたら、上矢印キーを押して「ショートカットの作成 S」を選んでEnterキーを押します。
3.すると、リストビューの一覧の中に、「○○へのショートカット」という項目が追加されます。
Windows7では実行ファイルの下に、WindowsXPでは、リストビューの一番下に追加されます。
その「○○へのショートカット」にカーソルを合わせて、Ctrlキー+X を押して「切り取り」を実行します(コピーでも可)。
※ここで、Explorerは閉じてもかまいません。
4.Windowsキー+R を押して、「ファイル名を指定して実行」のダイアログボックスを開きます。「名前 のコンボボックス」とガイドされます。
ファイルの名前を入力するテキストボックスにフォーカスされていますので、次の文字列を入力します(全て半角小文字)。
※ここで言う「ファイル名」は、普通のファイル名のことではなく、Windowsのコマンドの名前と考えて下さい。また、Windows7とWindowsXPでは、ファイル名(コマンド)が違いますので注意して下さい。
Windows7
shell:sendto
WindowsXP
sendto
5.入力したら、Tabキーで「OK」のボタンに移動してSpaceキーを押します。 「sendto」のフォルダが開いた状態で、Explorerが起動します。
6.「SendTo」のフォルダの中のファイルの一覧が表示されていますので、Ctrlキー+Vを押して、先ほど切り取り(または コピー)しておいたショートカットを貼り付けます。
ファイルのリストビューの一覧に、「○○へのショートカット」という項目が追加されます。
7.名前を変更したい、たとえば「への ショートカット」の部分を消したい、という場合は、F2キーを押して変更することが出来ます。
以上で、ショートカットの登録の作業は完了です。
●「送る」メニューを使ってファイルをアプリケーションに読み込ませる
登録した「送る」メニューを使ってファイルをアプリケーションに読み込ませる手順は以下のとおりです。
1.「コンピューター」や「ドキュメント」のリストビューで、アプリケーションに読み込ませたいファイルやフォルダを選択します。
一度に複数のファイルやフォルダを読み込ませることの出来るアプリケーションなら、複数のファイルやフォルダを選択状態にします。
2.Applicationキー またはShiftキー+F10キーを押してコンテキストメニューを開きます。Altキーで「ファイル」メニューを開いてもOKです。
3.上下矢印キーで「送る」の項目にカーソルを合わせて、右矢印キーを押します。
4.サブメニューが開きますので、上下矢印キーで、登録したショートカットの項目にカーソルを合わせて Enterキーを押します。
これで、選択したファイルやフォルダを読み込んだ状態でアプリケーションが起動します。
ただし、「送る」メニューからのファイルやフォルダの読み込みが可能なアプリケーションに限ります。それ以外のアプリケーションの場合は、単にそのアプリケーションが起動するだけになります。
前にも書いたとおり、これは実際にやってみないとわかりません。マニュアルなどに書いてあるアプリケーションもありますので、そちらもチェックすることをおすすめします。
「送る」メニューを使って、ファイルをアプリケーションに読み込ませた状態で起動する具体例については、下記のページを参照して下さい。
ポインタを自動的に既定のボタン上に移動する
「既定のボタン」というのは、ファイルを開くダイアログボックスなら「開く」のボタン、
設定のダイアログボックスなら「OK」のボタン、というように、そのウィンドウやダイアログボックスでの、基本となる操作のボタンを指しています。
そして、それらのウィンドウやダイアログボックスが開いた時に、自動的にマウスポインタを既定のボタンに移動させるための設定が、「ポインタを自動的に既定のボタン上に移動する」です。
この設定のメリットは、たとえば設定のダイアログボックスで、最初の方にある項目の設定をしたあとに、Tabキーを何回も押していって「OK」のボタンまで移動しなくても、マウスポインタが「OK」のボタンの上にあるので、そのままEnterキーを押すことによって、設定を完了することが出来る、というものです。
これは、ファイルを開くダイアログボックスでも同じことで、ファイルのリストビューで、目的のファイルにカーソルを合わせて Enterキーを押すと、マウスポインタが「OK」のボタンの上にあるので、すぐにファイルを開くことが出来ます。
#注意:
この設定にすると、マウスハーネスが使えません。
「マウスハーネス」を使う時は、この設定を解除(=チェックなし)にしてから使うようにして下さい。
■設定(または確認)の手順
1.コントロールパネルの「マウス」の項目を開きます。
「主と副のボタンを切り替えるの チェックボックス 切替 チェック ナシ S」と音声がします。
※Windows7の場合は、スタートメニューを開き、「プログラムとファイルの検索」のテキストボックスに(半角/全角キーで日本語入力モードに切り替えてから)「マウス」と入力します。
「マウス」に関連した項目が、タテ一列に表示されますので、下矢印キーで「マウス」の項目を選んで Enterキーを押します。
これで、同じダイアログボックスが開きます。
2.Shiftキー+Tabキーを押します。 「ボタンのタブコントロール 選択 タブで設定」と音声がします。
3.右矢印キーを押して、「ポインタ オプション」という所まで移動します。
4.そこからTabキーを押していって、
「ポインタを自動的に既定のボタン上に移動するの チェックボックス」
という項目に移動して、Spaceキーでチェックをつけます。
※既にチェックがついていたら、設定は不要ですから、Escapeキーでダイアログボックスを閉じて下さい。
5.そこからTabキーで「OK」のボタンに移動してSpaceキーを押します。 これで設定完了です。
デスクトップの何もない所で右クリック
一般ユーザー向けの説明に、「デスクトップの何もない所で右クリック…」という言葉がよく使われています。
これは、デスクトップのカスタマイズなどの設定メニューを呼び出すための操作なのですが、マウスを使わずに、キーボードでこのメニューを開くことが出来ます。手順は以下のとおりです。
1.Windowsキー+D を押して、デスクトップにフォーカスを持っていきます。
2.Ctrlキー+Spaceキーを押します。
3.続いて、Applicationキー またはShiftキー+F10キーを押します。 これで、デスクトップの設定メニューが開きます。
※この手順で、デスクトップのショートカットアイコンにフォーカスされて、そのアイコンのコンテキストメニューが開いてしまうことがあります。 その時は、もう一度 最初からやり直して下さい。
本文 ここまで