はじめに
パソコンには便利な機能がたくさんありますが、文書の作成・編集の際の便利な機能として、「検索」と「置換」が挙げられます。
「検索」と「置換」の機能は、ほとんどのテキストエディタやワープロに備わっています。
ここでは、MyEditのこの二つの機能について、入門者〜初心者向けに説明していくことにします。
MyEditシリーズ
他の「MyEditを使い倒す!」シリーズの記事は、こちらからお読みになれます。
実践パソコン環境
Windows7 Pro 64bit SP1 + PC-Talker7 2.12
MyEdit 4.46
※2015年8月 現在
検索
「検索」とは、一つの文書の中から目的の文字列を探す機能です。
短い文章なら、カーソルを動かしながら目的の文字列を探していくことも、それほど苦にならないでしょうが、長大な文書のなかから探すのは大変です。
でも、MyEditの検索機能を使えば、あっという間に目的の文字列を探し出すことが可能になります。
「検索」のダイアログボックス
Altキーでメニューを開き、右矢印キーで「検索」まで移動します。
そこから下矢印キーで「検索」を選んで Enterキーを押します。
ショートカットキーは、Ctrl+F です。
「検索」のダイアログボックスが表示されます。
「検索する文字列 のコンボボックス」とガイドされます。
このボックスに、検索したい文字列を入力します。
または、下矢印キーを押すと、これまでに入力した文字列の履歴が表示されますので、上下矢印キーで選択することも出来ます。
検索したい文字列を入力したら、Tabキーを押して、「完全一致で検索する」のチェックボックスに移動します。
「完全一致で検索する」というのは、入力した検索文字列の文字の種類を限定して検索するということです。
文字の種類=文字種には、大文字・小文字・ひらがな・カタカナ・全角・半角 があります。
こうした文字種を限定して、ピンポイントで検索したい時には、Spaceキーでチェックをつけます。すると、入力した検索文字列と同じ文字種だけを探します。
チェックを外した場合は、文字種を特定しないで、広く検索が行なわれます。
次に、Tabキーで「実行」のボタンに移動して、 Enterキーを押します。
※検索を中止してダイアログボックスを閉じる時は、「キャンセル」のボタンを押します。
また、Escapeキーでも閉じることができます。
※これまでに入力した文字列の履歴を消去したい時は、「履歴削除」のボタンを押します。
履歴が無い場合は、このボタンは無効になっています。
検索の実行
「検索」のダイアログボックスで「実行」のボタンを押すと、検索が実行されます。この時、文書の中のカーソルの位置から後の部分について(文書の末尾に向かって)、入力した検索文字列を探していきます。
※文書全体から検索したい時は、カーソルを文書の先頭に移動させてから、検索を実行してください。
検索文字列が見つかると、カーソルがジャンプして、その文字列の位置(行と桁)と文字列を読み上げます。
見つからない時は、エラー音が鳴ります。
「次を検索」と「前を検索」
次を検索
検索を実行して見つかった文字列が、本来の探している箇所ではなかった場合は、F3キーを押してください。
その位置の後の文書から、続けて同じ検索文字列を探します。
これが「次を検索」の機能です。
前を検索
先ほど、文書全体から検索する時は、カーソルを文書の先頭に移動してから、と書きましたが、文書の途中の位置から検索して見つからなかった場合、Shiftキー+F3キーを押して検索することも出来ます。
これが「前を検索」の機能です。このキーの組み合わせを押すと、同じ文字列を、逆に文書の先頭に向かって探します。
置換
「置換」というふた文字を開くと、「置き換える」となります。つまり、文書の中から目的の文字列を探し出して、別の文字列に置き換える機能です。
これも検索と同じく、手作業ではおそろしく手間のかかる作業を、あっというまに処理してくれる便利な機能です。
「置換」のダイアログボックス
Altキーでメニューを開き、右矢印キーで「検索」まで移動します。
そこから下矢印キーで「置換」を選んで Enterキーを押します。
ショートカットキーは、Ctrl+H です。
「置換」のダイアログボックスが表示されます。
「検索する文字列 のコンボボックス」とガイドされます。
このボックスに、検索文字列=置き換える前の文字列を入力します。
または、下矢印キーを押すと、これまでに入力した文字列の履歴が表示されますので、上下矢印キーで選択することも出来ます。
検索したい文字列を入力したら、Tabキーを押して、「置換する文字列 のコンボボックス」に移動します。
このボックスに、置換文字列=置き換えた後の文字列を入力します。
または、下矢印キーを押すと、これまでに入力した文字列の履歴が表示されますので、上下矢印キーで選択することも出来ます。
検索文字列と置換文字列を入力したら、Tabキーで「完全一致で検索する」のチェックボックスに移動します。 「完全一致」については、検索の項目を参照してください。
次に、Tabキーで「実行」のボタンに移動して Enterキーを押します。
現在のカーソル位置から下(文書の末尾)に向かって、置換の処理が実行されます。
検索文字列が存在すれば、最初にヒットした検索文字列にカーソルがジャンプします。
検索文字列が存在しない時は、その旨のメッセージが表示されます。
置換が実行されると、MyEditの編集画面は操作性が変わります。これを、私は勝手に「置換モード」と呼んでいます(置換モードについては後述)。
置換の処理をキャンセルしてダイアログボックスを閉じるには、「キャンセル」のボタンを押します。また、Escapeキーでも閉じることができます。
「履歴削除」のボタンを押すと、これまでに入力した文字列の履歴を削除することが出来ます。
※履歴が無い場合は、このボタンは無効になっています。
置換モード
置換のダイアログボックスから置換を実行すると、MyEditの操作性が変わり、通常の入力などは出来なくなり、置換の機能に関する操作しか出来なくなります。置換処理を全て実行しおわるか、キャンセルすると、また通常のMyEditの操作性に戻ります。
なお、PC-talkerの読み上げコマンドは、通常通り使えますので、置換する箇所の確認などは、このコマンドを使ってください。
⇒ 参考:MyEditの読み上げコマンド (ページ内リンク)
「置換モード」に入った時に実行することが出来るのは、次の4種類の操作です。
それぞれの操作を実行するには、項目の後のアルファベットのキーを押すか、矢印キーで各項目を選択して Enterキーを押します。
置換 (R) |
カーソル位置の検索文字列を置換文字列に置き換え、次の検索文字列を探しにいきます。
アルファベットの R の他に Enterキーを押しても実行されます。置換モードに入った時に、この選択肢にカーソルが合っているためです。 |
---|---|
次を検索 (N) | カーソル位置の検索文字列を置換しないで、次の検索文字列を探しにいきます。 |
すべて置換 (A) | カーソル位置から後にある検索文字列を、全て置換文字列に置き換えます。 置換が終ると、何件を置換したかというメッセージが表示されます。 |
キャンセル |
置換の処理を中止します。また、Escapeキーでも中止することが出来ます。 キャンセルすると、置換モードを抜けて、通常の操作性に戻ります。 |
元に戻す Undo
置換の処理に失敗した時、検索/置換する文字列を間違えてしまったり、置換すべき箇所を間違えてしまったりした時は、「元に戻す Undo ショートカットキー=Ctrl+Z」の機能を使って、置換前の状態に戻すことが出来ます。
置換処理をキャンセルして、置換モードを抜けてから、次の操作を行なってください。
1.置換 (R) で、ひとつずつ置換を実行した場合は、Ctrl+Z を一回押すごとに、ひとつずつ置換処理が取り消され、元の文字列に戻ります。 「案ズー 置換 キャンセル」とガイドされます。
2.すべて置換 (A) で、全てを置換した場合は、Ctrl+Z を押すと、全ての置換処理が取り消され、元の文字列に戻ります。 「案ズー すべて置換 キャンセル」とガイドされます。
参考:MyEditの読み上げコマンド
1行読み | Alt+F8 |
---|---|
段落読み | Alt+F9 |
行頭からカーソル手前読み | Ctrl+Alt+H |
カーソルから行末読み | Ctrl+Alt+K |
カーソル位置の読み上げ | F9 |
正規表現を使った検索と置換
ここで、正規表現を使った検索と置換についても、ふれておきます。
ただし、私は正規表現が苦手です。そのため簡単な説明しかできません。
正規表現について興味を覚えた方は、MyEditのマニュアルを読んだり、ネットで検索してみてください。
正規表現とは
最初に訳したのがどういう人なのかわかりませんが、「正規表現」というのは、実にわかりにくい翻訳語です。そのまま読むと、「正しい表現」というような意味と勘違いしてしまいます。
実際は、文字列の種類やパターンを表す記号や文字のルールのことです。
たとえば、半角の数字を表すにはこの記号と文字を使うことにしよう、行の先頭=行頭は、この記号を使おう、という決めごとがあり、それをまとめたものが「正規表現」です。
厄介なのは、このルールが、エディタや他のソフトウェア・プログラム言語などによって、少しずつ違っていることです(大筋では一致しているケースが多いのですが)。
MyEditで使える正規表現のルールが、他のエディタでは使えないということがあり、その逆もあります。
ここでは、あくまでもMyEditで使える正規表現に限って説明していきます。
また、正規表現での検索の説明は省略して、正規表現での置換についてだけ説明します。
置換の際の検索文字列が、正規表現による検索にも、そのまま使えるためです。
「行」の定義について
「行頭」「行末」という言葉を使っていますが、ここで言う「行」というのは、「論理行」のことです。
「論理行」というのは、改行記号から改行記号までの文字列を指しています。
正規表現での「行」というのは、あくまでも、この「論理行」を指しています。
それに対して、MyEditなどのテキストエディタで、一行に表示されている文字列は、「表示行」と言います。画面表示のため、便宜上、右端で折り返して表示している一行のため、「表示行」と呼ばれています。
正規表現で置換 ダイアログボックス
「検索」メニューから「正規表現で置換」を実行すると、「正規表現で置換」のダイアログボックスが表示されます。
ショートカットキーは、Ctrl+Shift+H です。
「検索する文字列」のコンボボックス … 検索する(置換前の)文字列を入力します。
「置換する文字列」のコンボボックス … 置換後の文字列を入力します。
「検索する文字列」と「置換する文字列」のコンボボックスは、通常の置換のダイアログボックスと同じように、以前に入力した文字列を矢印キーで呼び出すことが出来るようになっています。
「履歴削除」のボタンを押して、その履歴を削除することが出来る点も同じです。
また、「実行」のボタンと、「キャンセル」のボタンについても同様です。
通常の置換のダイアログボックスと違うのは、検索文字列と置換文字列のコンボボックスの所で F1キーを押すと、「メタ文字 参照メニュー」が開く点です。
メタ文字 参照メニュー
「メタ文字」というのは、正規表現で使う文字や記号のことです。 これらの文字や記号は、普通の文章の中で使われている時とは、全く意味が違っていて、正規表現による検索や置換の時に、特別な意味を持って機能します。
上記の二つのコンボボックスで F1キーを押すと、そのメタ文字の代表的なものの一覧が、タテ一列のメニューの形で表示されます。
上下矢印キーでメニュー項目を選択して Enterキーを押すと、そのメタ文字が、ボックスに入力されます。
正規表現による置換の具体的な例
ここで、簡単な正規表現による置換の例を紹介しておきます。
一部のホームページやメールマガジンでは、見た目を整えるために、文章の途中に改行を入れ、行頭に全角スペースを加えていたりするものがあります。
たとえば、次のような感じです。見た目はきれいになるのでしょうが、音声で聞くと、とてもわかりにくい文章になってしまいます。これを、正規表現による置換で読みやすい文章にしてみます。
置換前の文章
一部のホームページやメ
ールマガジンでは、見た
目を整えるために、文章
の途中に改行を入れ、行
頭に全角スペースを加え
ていたりするものがあり
ます。
ステップ1:行頭の全角スペースを削除する
この置換は、二段階に分けて実行します。まず最初に、行頭の全角スペースを消してしまいます。
次の検索文字列と置換文字列をそれぞれ入力して、置換を実行します。
検索文字列:^ (全角スペース)
置換文字列:空白(何も入力しない)
^(ベキジョウ)は、行頭を表す記号です。「ハット」とも呼ばれます。元は数学用語です。
^だけを検索文字列にすると、行頭の部分がヒットします。行頭にある何かの文字や記号を探したい時は、その後ろに、探したい文字や記号を入力します。
この場合は、全角スペースを探したいので
^ (全角スペース)
という検索文字列を入力します。
そして、置換文字列のボックスには何も入力せずに、置換を実行します。 こうすると、行頭の全角スペースが削除され、次のような文字列になります。
一部のホームページやメ
ールマガジンでは、見た
目を整えるために、文章
の途中に改行を入れ、行
頭に全角スペースを加え
ていたりするものがあり
ます。
ステップ2:行末の改行記号を削除する
最初の文章よりは、いくらかマシになりましたが、途中で改行されているため、読みにくいことに変わりはありません。
そこで、文章の中の改行記号を削除して、ひとつながりの文字列にしてみます。
検索文字列:\n
置換文字列:空白(何も入力しない)
\nは、改行記号を表す正規表現です。
MyEditで左右矢印キーを動かして読んでいて、右端の文字からさらに右に移動すると、「改行 右端」とガイドされます。行の末尾の改行記号の所にカーソルが合っているので、PC-talkerがそれを読み上げるわけです。
この改行記号を全て削除してしまいたいので、置換文字列のボックスには何も入力しないで、置換を実行します。
すると、次のように、改行がなくなって、ひとつながりの文章になります。
一部のホームページやメールマガジンでは、見た目を整えるために、文章の途中に改行を入れ、行頭に全角スペースを加えていたりするものがあります。
─ 本文 ここまで ─